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 空き家を売却した時の税金(譲渡所得税)が安くなるかもしれません。

 土地、建物などを売却して利益(譲渡所得)が出れば、売主の利益に税金(所得税と住民税)がかかります。

 1000万円の価値がある一戸建てを、1000万円で売却したような場合は利益が出ていないため税金(所得税・住民税)は発生しません。譲渡所得税は利益に課税される税金だからです。

利益(課税譲渡所得金額) = 売却価額(A) - 取得費(B) - 譲渡費用(C)

 「売却代金1000万円」は売却価額(A)、「一戸建ての売却時の価値1000万円」は取得費(B)にあたります。新所有者への売却の際に、仲介手数料・測量費・登記費用などを支払っていれば、それらは譲渡費用(C)にあたりますので、売却価額(A)から差し引けます。

 売却価額(A)は買主・売主の間で決められた金額なのではっきりしていますが、取得費(B)は旧所有者である売主が一戸建てを買った時の購入代金等から計算することになります。

 そうすると、売主が、一戸建てを買った時に作成された売買契約書等を無くしていたりしたら、そこに書かれていた購入代金の証明が難しくなってしまって、正確な取得費(B)が計算できません。

 空き家の場合、このような問題は多いのではないでしょうか。

 たしかに、「売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、 買い入れた時期が古いなどのため取得費がわからない場合には、取得費の額を売った金額の5%相当額とすることができます。(国税庁のWebサイトより)」という制度は準備されています。

 しかし、先の例の場合、売却代金1000万円(A)の5%相当額は50万円(B)に過ぎず、譲渡費用が100万円(C)だったとしても、850万円もの利益があることになってしまいます。

850万円(課税譲渡所得金額) = 1000万円(A) - 50万円(B) - 100万円(C)

 譲渡所得税の税率は、売却した不動産を所有していた期間で違ってきますが、低い方の長期譲渡所得税でも20%(所得税15%と住民税5%)、高い方の短期譲渡所得税だと39%(所得税30%と住民税9%)になります(便宜上、復興特別所得税は含めていません。)。

170万円(長期譲渡所得税) = 850万円(課税譲渡所得金額) × 20%

 取得費(B)がはっきりしない空き家等の不動産を売却すると、課税譲渡所得金額が増えてしまって、売主が不利益を被ってしまうことがあります。

 そして、このような状況にある売主の不利益を軽減できるかもしれないのが、平成28年度に創設された「空き家にかかる譲渡所得の特別控除」制度です。

 この制度は、被相続人が亡くなって空き家になった建物とその敷地の両方を相続した相続人が、それらを売却した場合に、譲渡所得について3,000万円を差し引けるというもので、主な適用要件は以下のとおりです。

・1981(昭和56)年5月31日以前に建築された家屋およびその敷地で相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたこと
・区分所有建築物(マンションなど)でないこと
・相続開始直前において被相統人に同居者がいないこと
・譲渡対価の額が1億円以下であること
・相続開始の日から譲渡の時まで事業の用、貸付用、または被相続人以外の者の居住の用に供されていないこと
・相続の開始から3年を経過する年の12月31日と2023年12月31日のいずれか早い日までに譲渡すること
・家屋を取り壊さず売却するときは、その家屋が地震に対する安全性に係る規定またはこれに準ずる基準(昭和56年6月1日以後の耐震基準)に適合するよう修繕されたものであること

 もし、先の例で、「空き家にかかる譲渡所得の特別控除」制度の適用を受けられれば、850万円だった課税譲渡所得金額はゼロ円、すなわち利益がないことになります(850万円 - 3,000万円)。

 譲渡所得税は利益(譲渡所得)に課税される税金なので、利益がゼロならば、支払うべき長期譲渡所得税もゼロ円になります(制度の適用を受けられないと170万円(長期譲渡所得税))。

まとめ

 1981(昭和56)年5月31日以前に建築された建物、いわゆる旧耐震基準の建物が対象になっている点や、地方では建物の取り壊しが前提になってしまう点など改善してほしいところはありますが、適用を受けられる場合の効果はとても大きいと思います。

 相続開始からおおよそ3年以内の売却という要件もありますので、相続した空き家をお持ちの方は、なるべくお早めにご検討されることをお勧めいたします。