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家族信託の登場人物

 家族信託には、「委託者(いたくしゃ)」、「受託者(じゅたくしゃ)」、「受益者(じゅえきしゃ)」の3名が必ず登場します。それぞれの役割を簡単にまとめます。
委託者」・・・財産の管理・処分を頼む人
受託者」・・・    〃   を頼まれる人
受益者」・・・    〃   による利益を受ける人

図1 家族信託の概略

 家族信託は、
① 財産の管理・処分を頼みたいと考えている人(委託者)が、
② 信頼できる身近な人(受託者)にその管理・処分をお願いし、
③ 委託者受託者の間で、誰(受益者)の利益のために、どのようなやり方で財産を管理し、どんな時に処分できるのかといったルール(信託契約)を決めて、
④ 委託者の財産を、信託財産(家族信託のための財産)として受託者のもとに移転させることで始まります。

 具体的な事例で、どんな人が「委託者」、「受託者」、「受益者」になるのか説明します。

【事例1】
 図2のご家族は、将来、母が認知症になってしまった時に、母名義になっている自宅・預金等をどのようにすればよいのか心配しています。別居している長男と長女も、母が存命の間は母名義の財産を、母自身のために利用してほしいと考えていますが、認知症が進行し、高齢者施設に入居するような状態になってしまった時は、母名義の自宅を売却するなどして、その費用にあてたいと考えています。長女は遠方に住んでいますが、長男は、母と同じ市内に住んでいて、週に1、2回は母の様子を見にきています。

図2 将来、母が認知症になってしまった時のことが心配なご家族

 この場合、
① 認知症になった時に備えて、自分の名義になっている財産の管理・処分を頼んでおきたいと考えている「母」が委託者
② 母のところに週1、2回は通っていて、母の状態や、財産のことをそれなりに把握し、あまり無理することなく信託財産を管理・処分することができる「長男」が受託者
③ 委託者である母と受託者である長男は、例えば、母が高齢者施設に入居するようになった場合の入居費用を、委託者である母が住んでいる自宅(信託財産になる財産)の売却代金の中から支払うことにしているため、その売却によって利益を受けることになる「母」が受益者になります。

 図3は、事例1の認知症対策として組まれた家族信託の概略です。家族信託の場合、委託者と当初の受益者が同じになるケースが多いと思います。

図3 認知症対策として組まれた家族信託の概略

 家族信託が始まると、受託者である長男は、自らのもとに移転してきた信託財産の管理・処分を行っていくことになりますが、信託財産を売却した時の売却代金は受益者である母のために使われます。このように、家族信託には、信託財産を管理・処分する権限と、信託財産から生じる経済的利益を受けられる権限を「分離」させられるという特徴があります。権限が「分離」しているからこそ、委託者受益者である母が認知症になってしまって意思表示ができない状態になっても、受託者である長男の判断で、信託財産になっている母の住んでいる自宅を売却し、その売却代金を受益者である母のために使えるのです。